2016年度報恩講を厳修しました 11月13日(日)
去る11月13日に、今年度も親鸞聖人の遺徳を讃え、ご苦労を偲ぶ報恩講の法要をキャンベラからパラスケヴォポロス師を迎え、この日集った20人の皆様と共にお勤め致しました。
この日は、陳俊霖(マイケルさん)&徐秀珍(ジェニファーさん)ご夫妻を始め、お盆に初めてお参りされた婚約中の黄レオさん、アキ(陳秋媛)さんのカップル、開教事務所の事務手続きを色々と手伝って下さったフォング・ノーマンさんが、末っ子のラズロ君を連れて一緒に連れてお参りして下さいました。
法要では、参列者に対する歓迎の言葉の後、『正信偈』(行譜)の読経、そして参列者が順にお焼香を行いました。次いで子供たちへの法話を私の方から行いました。
前に並んだ子供たちに、「HoHoHo」と聞いて何をイメージするかを聞きました。みんな知っている大好きなキーワードだったので、ニコッと笑みを浮かべたり「サンタ!」と答えたりしてくれました。それで次に、「Ho On Koはサンタさんの声と似てる?」と聞いてみたところ、またみんなニッコリ。それで、報恩講の説明をしました。
「サンタさんは、子供たちが大好きでみんなにプレゼントを配ってくれているので、みんなもサンタさんが大好きだよね?報恩講のお参りをするのは、浄土真宗を始めた親鸞聖人に感謝し、『有り難う』を言う日です。親鸞聖人は目に見えるプレゼントをくれるのではなく、阿弥陀様からのお念仏というプレゼントについて私たちに伝えてくれて人です。おもちゃとかのプレゼントはすぐに飽きるかもしれませんが、阿弥陀様からの南無阿弥陀仏の贈り物は触ったり遊んだりできませんが、永遠に無くならないプレゼントです。南無阿弥陀仏のお陰でみんなが安心して幸せに暮らせるのです。今日のお参りはその親鸞聖人に感謝する日です。」というお話しを致しました。阿弥陀様について少しでも身近に感じてもらえたものと思っています。
子供たちへの話に続き、パラスケヴォポロス師から英語の法話を頂きました。(英文面を参照下さい)
そして大人への日本語法話では、報恩講の歴史について焦点を当て、次の様なお話しをさせて頂きました。
報恩講は、浄土真宗の数ある一年の行事の中でも最も大事な法要です。漢字の意味を見ても分かります様に「恩に報いる集まり(講)」という意味ですが、特に仏教の各宗派で行われる法要、それもそれぞれの御開山、創始者のご恩に報いる法要を指して使われている言葉です。
浄土真宗では、今から約720年前に勤められた親鸞聖人の三十三回忌の折、本願寺第三代ご門主の覚如上人が、「報恩講式」と言うものをお書きになられました。それは、法要を営むにあたって、親鸞聖人のみ徳を讃え、その恩に報いる心構えを文章にされたもので、三十三回忌の法要中にお読みになられたそうです。それ以来、親鸞聖人のご命日法要を報恩講と呼ぶようになり今日に至っているのです。
さて、報恩講の「恩」と言う言葉について見ますと、これを英語で一言で説明するのは大変難しい言葉でした。第二次世界大戦後に、戦勝国の米国が、日本統治に向けて、日本人の資質・性格について調査した膨大な資料があり、その中で、日本人の恩の思想について大きく取り扱われていたとのことです。そこでは、恩は、ただ負債、或いは借金の様に見なされていました。親が子供を育て、子供が親の恩を思うのは、あれは貸し借りの中での借り、つまり負債である、というのです。だから恩返しと言うのは、単に負債を返すこどだと理解するのです。封建社会、つまり、お侍さんたちの時代で言うならば、殿が家来に恩を与え、後に家来が殿に恩返しをすることと説かれます。これをこのまま英語にすると恩に報いるとは、負債を返すことのように思われても仕方がないでしょう。しかし、本来の恩の思想とは決してそういうものではありません。勿論、恩という漢字は中国から来ましたが、中国語では、「愛する」、或いは「仁」、すなわち「可愛がる」または、「恵む」という意味で使われていて、封建道徳としての意味も、仏教本来の意味もありませんでした。それを、インドから来た言葉にあてたのでした。インドでは、本来「恩」は「為されたることを知る」という意味があったそうです。これは日本語で言う「冥加(みょうが)」、或いは「お陰様」の意味に近いものと思われます。
仏教では、四恩という言葉があり、昔は、「仏の恩」「師の恩」「父の恩」そして「母の恩」を指して言っていたのが後に世俗化して、「父母の恩」「衆生の恩」「国王の恩」そして「仏法僧の三宝の恩」となり、特にこの中で、国王の恩と、親の恩が強調されるようになって行ったのでした。
『にょらいだいひ如来大悲の おんどく恩徳は
み身をこ粉にしても ほう報ずべし
ししゅちしき師主知識の おんどく恩徳も
ほねをくだきても しゃ謝すべし』
しかし、親鸞聖人は、上の『恩徳讃』でも分かりますように、明確に仏教本来の立場を貫かれました。つまり、仏の恩、師の恩だけを仰っておられます。ですから、親鸞聖人は仏様の恩を思い、自分自分が益々仏法を学び、他の人々に学んだ法を伝えて行くことを自分に与えられた使命と思いその人生を歩まれたのでした。
私たちも聖人の生き様を見習い、阿弥陀如来の大悲、そして親鸞聖人をも含めた師主知識の皆様に対する恩徳に報いて行く道を歩ませて頂きましょう。
今年の報恩講を営むにあたりまして、今一度、絶対他力、悪人正機のお念仏のみ教えを私達に残して下さった親鸞聖人に、深く感謝を捧げ、共にお念仏申させて頂きましょう。
法要の後は、本堂前で記念撮影し、そして待ちに待ったお斎(とき)の時間。参列者の皆さんが腕に寄りをかけて作って下さった一品一品に舌鼓を打たせて頂きました。
お料理を用意して下さった奥山裕子さん、デイビッドソン・ビクター&ジルご夫妻、湖城律子さん、松永義明さん、三井ブラウン綾子さん、陳俊霖&徐秀珍ご夫妻、ウォング理佳さん、フォング・ノーマンさん、黄レオさん、陳アキさん、そして家内の由紀美へ感謝申し上げます。有り難うございました。
それにお参りしてくれた子供達、フォング・ラズロ君と我が家の由信&頌君、亜美&鈴ちゃんもみんな有り難うございました。本当にようこそのご縁でした。
今年も皆様のお陰をもちまして無事に報恩講をお勤めすることが出来ましたこと、ここに深く感謝申し上げます。
合 掌
オーストラリア開教事務所長 渡部 重信
塩原良彦さん、ようこそ! 20/11/16
10年以上前から、シドニーで研究活動の資料を集めている慶應義塾大の塩原良彦先生が11月20日のお参りにご聴聞下さいました。またいつでもお参り下さいませ! 合掌
今月のことば Words of this month
さとりのくに国にうまるるは
ただしんじん信心にきわまりぬ
親鸞聖人(一一七三-一二六三)
It is through shinjin alone
that we are born
in the Land of Awakening.
by Shinran Shonin (1173-1263)
(『2016(平成28)年 法語カレンダー』真宗教団連合刊より)
祭・ジャパンフェスティバル開催迫る!
今年度開催する日本の夏祭りは、名称を『祭りイン・シドニー』から『祭・ジャパンフェスティバル』と改名して、12月10日(土曜日)に新しく出来上がったダーリングハーバーのタンバロングパークにて開催される予定となっています。30組以上のパフォーマーの出し物に、多くの屋台、日本の紹介ブースも沢山立ち並びます!日本の文化体験コーナーもございます。是非多くの方が参加されますことを願っています!
仏教スクリプチャー(聖典講読)クラスで引き続き勉強中!
Lindfield East小学校での仏教聖典講読クラスでは、ここのところダウンロードした仏教のアニメ物語を見ています。また、12月8日の成道会に向けて、お釈迦様の成道までについての勉強をしています。(渡部)
追悼 小泉信了先生
シドニーを何度か訪問され、開教事務所の法友の皆さんにも大変なじみのありました兵庫県たつの市、浄泉寺ご住職の小泉信了先生が、11月14日未明に突然の事故で亡くなられました。この紙面をお借りしまして、ご家族、ご親戚の皆様には心より哀悼の意を表させて頂きたく思います。日本そして世界中をギター1本でおみのりを弘め続けられた先生は本当に、有り難い全知識様でした。お浄土でも、ギター片手に仏法を弘めていらっしゃることと察するばかりです。 合掌
In Gassho
Rev Shigenobu Watanabe